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お帰りなさい [家族]

2年前の6月に亡くなり、献体していた叔父の遺骨を東京医科歯科大学に受け取りに行きました。
会場の講堂に入ると正面に90柱のご遺骨。こういう風景には遭遇した事がないので圧倒されます。
10.01.23.jpg

厳かにご遺骨返還式が始まり、学長及び医科・歯科の学生代表による
献体者、遺族に対する感謝の言葉が述べられ、そして叔父の骨を受け取りました。

わたしが小学生の頃、子供のいなかった叔父が自分の死後、
献体したいから保証人になってくれと父のもとに来ました。
父は反対しましたが、教育に携わる叔父の決意の固さに同意しサインをしました。

それから時が過ぎ父が亡くなり、2年前叔父がすい臓がんの末期だという事で病院に行きました。
叔父は思ったより元気で、昔話をしたり自分の死後は献体して合同で埋葬してもらうので、
その手続きで迷惑を掛けるけれど、よろしくお願いしますと言われました。

わたしは以前から考えていた事、すなわち献体を辞めて、
変な言い方ですが普通の葬式をして、お墓に入りませんかと叔父に話をしました。

若い頃から目が不自由で盲学校の教諭を勤め上げた叔父。
自分自身と生徒さんの目の不自由さを痛感し、
医学の向上の為に献体を決意した事を話してくれました。
話をしていて叔父の崇高な決意に圧倒されました。
わたしは全て責任をもって叔父の思いの手伝いをさせてもらうから、
せめてうちの墓にだけ入ってくれとお願いをしたところ、
叔父は嬉しそうに、よろしくお願いしますと言ってくれ、
ほどなくして亡くなりました。

今、あらためて自分を振返り、人の為、社会の為に何が出来ているんだろうと思います。
まして、自分を献体して医学の進歩を図るなど、自分に出来るのだろうかと考えます。
しかし、献体の歴史があるからこそ現代の医学の発展がある訳で、
献体者一人一人の崇高な遺志に畏敬の念を感じます。

はたして自分はどんな形で社会に貢献できるか、
これからの人生で真剣に考えていきたいと思うばかりです。
今はただ、叔父に遺志は成就されましたよ。
これからゆっくりして下さいと言葉を掛けたいと思います。

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コメント 2

sgr

こんばんは、叔父様に出る言葉は、本当にお疲れさまでした。ゆっくり御休み下さいの一言ですね。
ふと思いました。他界されてから2年との事ですが、他界されてから今日までも、叔父様は生き続け、社会に貢献されこられた様な感覚ですね。
上手く言えませんが、・・・・凄く心打たれます。

私は、叔父様のような考えの方、そして、献体に同意された、ココ父様、母様、尊敬いたします。

叔父様への御帰りなさいという言葉に涙がでます。・・・・ 


by sgr (2010-01-26 21:15) 

ココ母

sgrさん、こんばんは!

私はよく、命をかけて何かを成し遂げようと言います。
しかし、叔父の行為を考えると、安直に使ってはいけない言葉なのかなと考えます。
確かに決意を示す言葉として言うのですが、本当に命をかけた人に対して失礼ですよね。

いろんな事があって、私は生前の父に対しても叔父に対しても不穏な心を持っていました。
しかし、どんな事があっても親は捨てられないですし、叔父に対してもそうです。
したがって、その心をもったまま看病するのは、人でなしかもしれませんが、
大変なストレスでした。ただ、逃げるのだけはやってはいけないと思っていました。

その2人が亡くなる前、自分の容態は最悪なのに、看病をする私の体を心配してくれたんです。
正直、愕然としました。人の心配ができる状態ではないのに、なんでそんな事が言えるのかと。
そして、自分がなんて小さな人間だったのかと痛烈に自覚しました。

話が横道にそれましたが、1人の人間の死というのはとても大きい事だと思います。
そして、その厳粛な事実が残された者達への最後のメッセージだと思っています。
私達はそのメッセージを無駄にしないように生きていかないといけないのでしょうね。

今回は、正直記事にするのを躊躇したのですが、心のままに伝える事にしました。
しかし、自分が読んだとしても、コメントするのは難しいなと思っていたのですが、
丁寧なコメントを入れて頂いて、とても感謝しますし大変嬉しいです。有難うございました。

次回は悩まさないような記事にするように努めます(笑)
これに懲りずに今後ともよろしくお願いしますね!!

byココ父
by ココ母 (2010-01-26 23:22) 

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